大手になったが故にジャンル撤退した話

※サークルの規模等、客観的に見てわかりやすく表現するために「大手」と言っています。


以前とあるジャンルを撤退した。

理由は「しんどくなったから」だ。


そのジャンルに参入した頃、Twitterのフォロワー数は2桁だった。

流行り始めていたジャンルで新しいジャンルにハマったこともあり創作意欲が湧きに湧き作品を連日投稿し続けた。

初めての投稿から4桁いいねを頂き、いわゆる最大手なんて呼ばれる人にもフォローしてもらえた。フォロワー数も数日で4桁になった。こんなにも反応を貰えることがその時は単純に嬉しくてどんどん作品をあげた。


以前までなら繋がれなかったであろう他の大手さんとも相互になり、私自身のフォロワーも5桁を越えた。作品も万単位でいいねを貰えるようになり、エゴサしてみれば私や私の作品が好き、推し、神絵師…など賞賛する声もあった。私の作品がきっかけでジャンルやカプにハマった、一番好きな絵師だ…そんなふうに言われるのが嬉しかった。


オフ活動もした。以前までは島中~島端の配置ばかりだったが壁に配置された。本はいつも完売した。イベント後に豪遊出来る位の売上もあったし、たくさんの差し入れも貰った。それらが常になった。こんないい思いができるなんて有名になるっていいもんだなと思った。


この辺りから私はおかしくなっていたと思う。創作活動する最も基本的な感情よりも、承認欲求が満たされることに重きを置くようになっていた。


とにかくフォロワー数や、作品へのRTいいねに拘るようになった。作品をあげると言うより、フォロワーを逃さないための撒き餌をするようになり、兎に角量産したくて仕事も辞めた。同人の売上があるので生活に支障はなかった。好きという感情は二の次さんの次、とにかくいかに自分が界隈にとって需要のある描き手であるかを誇示するかのように、持て囃される環境に溺れた。


そんな日が続いていたが次第にいわゆる175な人達が去り始め、ジャンルも落ち着き始め以前ほどの爆発的な勢いはなくなった。それでも十分なほどの評価をもらっていたはずなのに(以前よりは)伸び悩むようになったのは事実で、それに不満を抱くようになった。自身のフォロワー数と比較して、いいねしないやつはなんのためにフォローしてるんだ!とフォロワーを「数字」としか見なくなっていた。自分が賞賛されることも「当然」だと感じていた。ここまで来ると作品を作ることの動機の殆どが悪い意味で自分の欲を満たすため、純粋に好きだったジャンルやカプはそのための道具になってしまった。


作品の伸びが悪ければそれを「恥」と思い、自身よりも高評価を貰った作品には「なんでこんなのが?」と心の中で罵倒した。まるで義務だと言わんばかりの心境で作品を描いていた。…しんどかった。楽しくなかった。萌えさえしていなかった。


そんな自分に絶望した。そのジャンルをカプを好きだから二次創作をするという根本が欠如していたこと、とても醜い感情を抱いていたこと。そんなのはダメだと思って再起しようとしたが、1度「いい思い」をしてしまった後で初めの頃のような純粋な気持ちで描くことが出来なかった。


はじめはたくさんの人に作品見てもらえて、反応を貰えて、いろんな話を共有出来て…そんな環境が楽しかった。でもわたしという人間にとって、それは重荷にもなった。変なプレッシャーを感じていたのかも知れない。

全ての大手さんや、有名な作り手さんがそうであることはもちろん無い。単純にわたしがそう言った器でなかっただけの話だ。


ただ、大手や有名だと言われる人達の中にも私のような人がいるかもしれない。

大手だから、有名だからいい事づくめで作品も勝手に伸びるし本も売れるし中堅ピコ手の気持ちなんてわからないだろ…とは簡単に言わないで欲しいなとそういう書き込みを見る度に思う。


吐き出したいだけで文才も無いので結局何が言いたいんだ?と言われるだろう。私もよく分からない。ただ、こんな奴もいたんだよと知ってもらいたかっただけで深い理由も無い気がする。


ジャンルやカプ、キャラが好きだから、ファン活動のひとつとして二次創作をする。その気持ちはやはり大事なんだなと改めて感じた。これを読んだ人の中にも、作品の伸び悩みやフォロワーが減るから描かなきゃ!みたいに追い詰められてる書き手さんがいたら、少しだけ立ち止まってみて、そもそもなんのために活動を始めたのか?を思い出して見てください。


余談だが、その時の活動がきっかけで声を掛けてもらい今は商業で活動している。同人も好きなものを好きなようにゆるっとやっている。まとまりもなく、オチもなく、破綻した文章で長々と書いてしまって申し訳ない。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。


あなたが今後も楽しく創作活動が出来るように願っています。